資料に基づき、出荷データ分析の第一段階である「Tera計算0」の役割と処理フローについて解説します。
Tera計算0は、配送センターの規模算出(Tera計算1・2)に先立ち、生データである出荷データを扱いやすい形に整理・加工するためのソフトです。この段階で、計算頻度の高い共通データをAccessの「T200」テーブルとして事前に作成・保持します。
具体的には、以下の手順でデータを加工します。
効率的な配送センターを設計するためには、高流動なものと低流動なものを正確にグループ化し、それぞれに適した設備や運用を割り当てることが重要です。
この資料は、配送センター設計の基礎となる「出荷データの内容」と「出荷波動の考え方」について解説。
物流設計の基本は EIQ分析(Entry:出荷先、Item:商品、Quantity:数量)ですが、Tera計算では精度の高い設計を行うために、以下の項目を追加したデータ形式を採用しています。
出荷物量は毎日一定ではなく、季節、月、曜日、さらには天候や店舗の新設などによって増減します。これを「出荷波動」と呼びます。
最大ピーク(出荷波動の頂点)に合わせて施設を作ると、閑散期に広大な無駄スペースが生じ、不経済になります。Tera計算では、あえて最大ピーク日ではない日(例:週間MAXではない木曜日など)をターゲット日として選定する考え方を提示しています。
資料に示された例(小型家電・電子機器のBtoBセンターを想定)では、以下の規模のデータが扱われています。
配送センターは出荷先の注文に基づき商品を出荷する、この出荷実績をまとめたものを出荷データと言う。
「A出荷先にB商品を10個出荷した」E(Entry)I(Item)Q(Quantity)という記録である。
Tera計算では上記EIQだけの情報では配送センターの設計は出来ないので、必要な項目を追加した。
行連番: 出荷データのレコードの順番(レコードに付けられた連番)
出荷日: 出荷した日付(出荷データには複数の出荷日がある)
出荷時間: 出荷した時間、時間当たりの物量集計に使用
出荷先(E): 商品を納品した社名又は店名
アイテム(I): 商品名又は商品コード(SKU区分可能なこと)
アイテム区分: 出荷データ分析集計時にアイテムの範囲抽出又は範囲除外するための項目、必要なければこの項目に“記載無し”と入れる。
出荷区分: 出荷データ分析集計時出荷先の範囲抽出又は範囲除外するための項目、必要なければこの項目に“記載無し”と入れる。
出荷ルート: 同一のトラックに積載できる出荷先のグループの出荷経路名、又は出荷先を複数グループ分けた出荷経路を管理する出荷経路名。
バラ数(Q): 作業や管理をするための最小単位(SKU)。
SKU(Stock Keeping Unit)とは、受発注や在庫管理の最小の管理単位で、同じ商品でもケース入り数や商品サイズなどの違いを区別して管理。
ケース入数: ケース換算を算出しケース単位出荷とバラ単位出荷の区分及び数量計算に使用する項目。
PLケース積付数: パレット換算(今後はPL換算と呼ぶ)を算出するための項目で、指定パレット荷姿に積付けることが出来るケース数。
ケース容積: バラ数を容積に換算する項目(ケース換算後に計算)。
ケース重量: バラ数を重量に換算する項目(ケース換算後に計算)。
Tera計算に使用する出荷データ(添付Excel参照)は、データの項目列変更や項目名変更はできない。これはTera計算で出荷データをインポート時のルールとして理解いただきたい。
出荷データ 単純集計
出荷データは60.000レコード
配送センターの規模は、中規模の上位から大規模の下位の位置づけ?
業種は小型家電・電子機器のBtoBを主体とした配送センターを想定している。
出荷物量は毎日増減している、日単位でグラフにプロットすると波のような曲線ができる、これを出荷波動と呼ぶ。
企業の売り上げは季節や月及び曜日により出荷波動があり、出荷物量も売上に連動している。また、業種により季節により商品ボリュームが異なる(夏物・冬物)場合があることも考慮する必要がある。
この出荷波動の高い出荷データに合わせって配送センターを作ると大きな配送センターになり不経済である。
経済的な規模をの配送センターをつくには、計算に採用する出荷データが、出荷波動の高い出荷日とどの程度差があるか、ピーク時にどのような対策がとれるかを確認する。
対策は、稼働時間延長、作業員増員、他施設へ依頼、出荷の前倒し作業(運用の変更)等がある。これらの対策は、物流部門以外の仕入部門や営業部門にも影響が及ぶので、対策を関連部門に説明し、全社的な合意を得る必要がある。
上記表は8月の物量に適合した配送センターを立案するため集計・分析のターゲット日を決めるために作成した物流量の波動表です。
ターゲット日を週間物量のMAXではない木曜に選定した意図は、ピーク日対応を稼働時間延長や増員及び外部委託などで行い、配送センターを経済規模にするため。
物流波動は年。月・週だけではなく、祝祭日や天候、お客様の店舗新設などにも起こる。
この資料は、出荷データ分析の要である「出荷データ加工(Tera計算0)」の具体的な手順と計算ロジックについて解説します。
まず、Excel形式の出荷データをAccessに取り込み、「T000_出荷データ」テーブルを作成します。
取り込み直後、物流設計に不可欠な以下の換算値をレコード(行)ごとに算出します。
配送センターでは、ケース単位とバラ単位で保管場所や作業方法が異なるため、これらを明確に区分して集計します。
一般的なABC分析(3区分)よりも詳細な5段階のランク付けを行い、設備割付や運用を最適化します。
加工されたすべてのデータ(換算値、出荷区分、各ランク情報)を1つに統合した「T200」テーブルを作成します。Tera計算1および2はこのテーブルのみを参照して分析を行うことで、処理スピードを向上させています。
データをAccessに取り込むことをインポート、Accessから取り出すことをエクスポートと言う。
「Tera計算0」は、出荷データ(Excel)をAccessに取り込み「T000_出荷データ」テーブルを作成することを出荷データのインポートと呼ぶ。
Accessは初期化(Accessが空の状態)してから「T000_出荷データ」をインポートするので、インポート時点ではAccessに「T000_出荷データ」テーブルのみがある。
Tera計算0_データ加工ソフトが最初に行う処理は、出荷データにない、ケース数・PL数・容積・重量の換算値を計算。
計算式は
ケース換算=バラ数/ケース入数
PL換算=ケ-ス換算/PLケース積付数
容積換算=ケ-ス換算*ケース容積
重量換算=ケ-ス換算*ケース重量
換算値はレコードごとに記録している。
配送センターは、PL単位・ケース単位・バラ単位で荷役作業を行っている。
Tera計算はケース単位出荷とバラ単位出荷を分けて分析集計する、これは配送センターの作業や保管方法がケース出荷とバラ出荷では違うからである。
計算は
1.1ケース未満はバラ出荷(ケース換算<1)
2.1ケース以上で1.・5等小数点が無ければケース出荷(ケース換算>=1 andバラ数 mod ケース入数=0)
3.1ケース以上で1.1.・5.3等小数点が有ればケースバラ出荷(ケース換算>1 andバラ数 mod ケース入数<>0)
4.3.の場合は整数部をケース出荷し、小数部をバラ出荷とする。
ケース出荷のケース数=Int(バラ数/ケース入数)
バラ出荷のバラ数=バラ数-(ケース換算*ケース入数)
計算例
A発送先にケース入数5のB商品を9バラ数する時、1ケースと4バラ発送する。
この時、配送センターの作業は、1ケースは、他の出荷先の同一アイテムと混在して在庫エリアから一括で出庫し、仕分けエリアで仕分けられる。
4バラは出荷作業エリアのフロー棚や中量棚からピッキング出庫される。
ケース出荷とバラ出荷の区分はレコード単位に計算される。
PL単位の計算は換算値から必要に応じて算出可能である。
注意:小規模センターでは在庫エリアから直接ケース出荷2バラ出荷3を一度に出庫する場合もるが、Tera計算はケース単位出荷とバラ単位出荷が区分されている配送センターを想定いて計算している。
これらの計算結果は「T110_区分換算」テーブルに保存される。
上記表の「C行」はケース出荷行数の意味、「B行」はバラ出荷行数の意味、「G行」はケース+バラ出荷行数の意味。
一桁目のC・B・Gは出荷区分、二桁目の行=行数、バ=バラ数、ケ=ケース換算、PL=パレット換算、容=容積換算、重=重量換算を意味する。
アイテムにランクを付ける
ランク分け比率は A1ランク 50%、 A2ランク 20%、 Bランク 15%、 Cランク 10%、 Dランク 5%でランク分けされる。
各ランク比率を変えることが出来るが合計を100%にする。
Tera計算は全出荷データをアイテム別に集計し、高流動品から順番号とランク付けしている。このランク付けはABC分析と同じ方法である。ABC分析はランク3区分であるがTera計算は5区分にしている。これは配送センターの運用設定や設備設定のランク区分が多いほどシステムの構築がしやすいからである。
経験上,10区分は多過ぎ、5区分が程よいと考える。
ランク分けに使用する項目は「レコード数(行数)」「バラ数」「ケース換算」「PL換算」「容積換算」「重量換算」があるが、どれを選択するかは議論の余地がある。
Tera設定は、Tera計算1ではケース出荷を「ケース換算」、バラ出荷を「行数」と設定、Tera計算2ではケース出荷・バラ出荷ともに「PL換算」を設定している。
Tera計算ソフト使用して、ランク分けに使用する項目をそれぞれ設定比較したが、この設定を選んではいけないと言うほど集計結果の差異はない。
ケース出荷はケース換算、バラ出荷は行数を使用。
出荷先にランクを付ける
出荷先ランク分けの方法はアイテムのランク分けと同じ5区分。
出荷先ランク分けはアイテムランク分けと同じ比率設定(Tera設定)。
ランク分けに使用する比率やランクキーは可能である。
「出荷データ」に「T180」・「T110」」をリンクすることで、「T200」テーブルを作成する
前記、「T110_区分換算」と「T180_EIQ ランク」を作成後。この2テーブルと「T000_出荷データ」を連結して新規「T200」テーブルを作成する。
左記リンクを利用し無い理由は「T200」テーブルを使用するとSQL文の作成が簡略なり処理速度向上すると言うソフト上の都合がある。
Tera計算1・2は「T200」テーブルのみにアクセスして分析集計を行っている。
Tera計算0は「T200」テーブルを作成しないで、「T110_区分換算」と「T180_EIQランク」とを「出荷データ」と結びつけるとAccessの容量を小さくすることが出来るメリットもあるが。。。
「行連番」から「ケース重量」までは出荷データと同じ内容。
「ダミー」はNullでTera計算が計算処理を行うとき計算区分を入れるなどで利用する項目。(Nullとは全く情報が入っていない状態を言う) 「出荷単位」以降はTera計算0が作成したデータ。
「C行」の「C」はケース出荷のグループ、「B行」の「B」はバラ出荷のグループ、「G行」の「G」はケース出荷とバラ出荷を合算したグループ。
行番1はケース出荷でバラ出荷の項目欄は0又はnullとなり。、行番3はバラ出荷でケース出荷の項目欄は0又はnullとなる。
「CE順位から」から「CIランク」までは、ケース出荷のランク情報、「BE順位から」から「CEランク」までは、バラ出荷のランク情報でtera計算1に使用、「GPLE順位」から「GPLIランク」はtera計算2の計算に使用するランク情報。
tera計算1はランクをケース出荷とバラ出荷に分けてるのにtera計算2はケース出荷とバラ出荷合算値対してパレットをキーとしたランク付けをいている(Tera計算2の章で説明)。
行番23329の「G行」が2となっている。行番23329はケース出荷とバラ出荷と2回出庫作業していることを示している。
ランク分けキー
ランク分けキーは、ランク分けの基準となる数値(ランクキーを集計してランク分けしている)。
バラ数がランクキーなら、バラ数量で集計し、ランク分け。
ケース数がランクキーなら、ケース換算で集計し、ランク分け。
Tera計算1は、ピーク出荷日を対象として、バラ出荷が行数、ケース出荷はケース換算をTera設定のランク分けキーとしている。在庫から出荷作業エリアの出荷能力計算に使用する。
Tera計算2は、全出荷データ平均を対象とし、バラ出荷・ケース出荷共にPL換算をランク分けキーにしている。配送センター規模計算はPLや・容積など保管量算出計算が多い入荷から在庫までの計算が主体。
ランク分けキーを何にするか議論が多いところだが、著者はどの選択も可と考える。
所見
Tera計算2_配送センター規模計算で比率やラック分けキーを変更して、配送センタ面積の変化を確認出来る。(1-2分で計算結果が表示される)
ランク付けはケース出荷とバラ出荷とに分けて、それぞれにランク付けるするのは、ケース出荷とバラ出荷は作業運用が違うというのが理由。
ケース出荷とバラ出荷を区分しない場合、出庫回数を基準に集計するとバラ出荷が上位を占め、ケース換算を基準に集計するとケース出荷が上位を占めるという矛盾が起きてしまう。
Tera計算は、バラ出荷とケース出荷別にそれそれの事情に合わせてランク分けをし、バラ出荷とケース出荷を区分して分析集計しする方法を選択している。
但し、在庫計算時は全出荷データ(バラ出荷+ケース出荷)平均する方法が合理と判断した。
ABC分析は、物流量を高流動から低流動へAランク70%・Bランク20%・Cランク10%の3ランクに分けて分析しているが、3ランク分けは区分けが少ないと感じる。
経験上、5ランク区分にすると設備割付や運用区分が程よく分けられる。
ランク付けの方法の具体的手順
アイテムランク分け、ケース出荷の例
1.アイテムランックキーを指定する。
ランクキーとは物量比較をする項目で出荷回数・バラ数・ケース換算・PL換算・容積換算・重量換算がある。(重量換算はほぼ使用しない)
Tera設定は、ケース出荷はケース換算がキー、バラ出荷は出荷回数がキーを選択。
2.各ランクに物量比を割り付ける。
Tera設定はA1ランク50%、A2ランク20%、Bランク15%、Cランク10%、Dランク5%の5段階に分けている。
3.ケース出荷のアイテム別に全レーコド集計。
アイテム集計を物量の多い順番にソートし、物量が多い順番に順位を付ける。
順番に従て累積物量と累積物量比を算出、2.で指定するランク区分比率に従ってランク付けする。
このアテム順位とランクを出荷データの各レコードに紐づける。
紐付けることにより、出荷データの各レコードがアイテムランクと順位が解る。
4.ケース出荷の出荷先ランクを計算する。計算方法は3.と同じ。
5.バラ出荷のアイテムランク及び出荷先ランクを計算する。計算方法は3.と同じ。
6.各ランク区分を「T180_EIQランク」テーブルを参照。
T180_EIQランクはAccessのテーブル名、CE順位はケース出荷の出荷先順位、CIランクはケース出荷のアイテムランクを意味する。
一般的にはレコード数=出庫回数で計算するが、Tera計算はレコード数と出庫回数とは違う単位としている。
レコードは出荷データの行の意味、出庫回数は出庫作業する回数。
1レコードで、1ケースと3バラ出荷した場合、ケース出荷で1回出庫、バラ出荷で1回出庫する。Tera計算はレコード数1に対して、出庫回数2とカウントする。
通常、棚に商品を保管するすることを入庫と言い、商品を取り出すことを出庫と言う。この入庫と出庫は保管スペースの棚と作業スペースの棚に対して、同じ入庫出庫と言う言葉を使うことになる。
以後本書ではこの重複を避けるため、保管スペース棚に商品を保管することを蔵入れとし、保管スペース棚から商品を取りだすことを蔵出しと表現する。
蔵出しした商品を集荷先別に配分することを仕分け(種まきとも言う)という。蔵出しした商品を出荷作業スペースの棚に商品を入庫(補充)して保管し、その棚から集荷先別に出庫(摘み取りとも言う)することをピッキング(ピックとも言う)と言う。
「仕分け」と言う言葉は、仕分け(種まき)とピッキング(摘み取り)の両方を含んだ意味で使われることが多々ある。以後、本書では仕分=種まき、ピッキング=摘み取り、仕分け=種まき+摘み取りと理解頂きたい。
Tera計算は配送センターシステムを扱っており、車に載せた後の輸配送には触れていない。輸送配送については他著作にて確認頂きたい。
出荷データ分析集計数値は全て倍精度(PCでは一番高い精度)を使用している。しかし、計算結果は複数の計算処理工程を経いているので誤差は否めない。その場合はご容赦願いたい。(現時点での誤差が出ている表示は確認していない)。画面表示は四捨五入を行いできるだけ整数で見やすくしているが、ソフトは倍精度を保持している。
配送センターはピーク時間帯の作業を処理できる能力が求められ、対応できない場合は対応策が必要となる。前倒し作業や増員がこれにあたる。Tera 計算のピーク時集計はピーク時対応策された場合考慮しながら見てほしい。
各工程のピーク時間帯は出荷データの出荷時間を基準に決められ、決められた出荷時間までに出荷が完了できるようにしなければならない。従って、出荷の上流工程は開始と終了がずれることを留意する。
専用便(自社便)と宅配便
専用便(自社便)は、荷主又は運送業者が荷主専用の配送ルート及び配送トラックを確保している配送の仕組み。
宅配便は、運送会社が固定した独自の配送ルートとトラックを確保し、荷主がケース単位で配送を依頼する配送の仕組み。