第4-3章 配送センタ規模計算 建屋敷地面積

第11節 建屋面積計算

この資料は、物流センターの「建屋面積計算」における法的規制、構造的仕様、およびシミュレーションの仕組みを解説したものです。

物流スペースの集計値(面積)に「縦横比」や「階数」といった寸法の概念を加え、具体的な建物の形をイメージするためのステップです。主要なポイントを整理して解説します。

1. 立地選定と法的規制の重要性

配送センターの建設には、都市計画法(用途地域)や建築基準法、消防法などの膨大な法的規制が関わります。

2. 建物の形状と構造的仕様

面積を具体的な寸法(幅・奥行)に変換するための設定項目です。

3. 立面(高さ)と多階層の考え方

4. 特殊なケース:自動倉庫の別棟化

通常は1棟で完結しますが、パレット自動倉庫を「ラックビル(棚が建物の骨組みを兼ねる構造)」として別棟にする場合があります。

5. 建屋タイプ40パターンのシミュレーション

Tera計算2では、以下の要素を組み合わせた40パターンの建屋タイプを一括計算し、一覧表(Excel出力可)として提供します。

この一覧表から得られる建物情報が、次のステップである「敷地面積計算」の基礎となります。

建屋面積計算画面

建屋面積計算画面
物流スペースは、各設備面積の合計面積である。面積の概念のみで寸法の概念はない。

建屋面積計算で建屋幅と奥行寸法比で建屋寸法を計算する。

配送センターを建設する場所を立地と言い、建設する立地によりいろいろな法的規制(立地条件)がある。都市計画法に限ってみても住居系や商業系・工業系などの13用途に分かれている。その他建築法・消防法・電波法や近隣住民との調整など、立地選定は専門家でなければ対応できないほど多い。

立地選定時には必ず用地面積(又は建屋面積)が必要となる。これを社外に依頼すると時間とコストがかり、さらに社内負荷として現場調査(面積計算の前提条件を設定)をしなければならない。

Tera計算2は出荷データから物流スペースの面積規模計算する方法と手順を教育するソフトであるが、立地選定時の参考資料を提供したく用地面積(建物面積)の計算行うソフトを追加している。この計算値は参考値であって面積確定値ではないこと、最終的な面積確定は他の条件や別資料と併用して計算値を修正いただきたい。

有資格者(1・2級建築士)の設計図でのみ建物を建てることはできる、無資格者は建物の仕様を決めることはできない。しかし配送センター面積や規模のイメージを持つことは可能であり必要と考える。

Tera計算2で示す建物図はイメージ図で設計図ではない。Tera計算2で示す建物寸法は仮寸法で、概算面積を算出するためのみに使用にている。

第1項 建屋縦横比

Tera計算2スペース面積集計には寸法の概念がない。建物縦横比を指定することにより建物寸法を計算している。縦横比1:1や2:1は少なく、3:2や4:3のような長方形型の配送センターが多い。

第2項 外壁・柱・防火壁

外壁・柱・防火壁

柱は建物を保持するための強度(材質・厚み・縦横寸法)が必要であるが、多階層の配送センターでは壁も建物強度を保持する役割(構造壁と言う)を果たしている。したがって、建築後の壁は開口部を作るなどの変更は出来ない。

Tera設定は、外壁200mm・、柱は1階建て700㎜*700㎜で1階増すごとに100㎜増で柱ピッチ10mとしている。

建屋の投影面積計算は外壁厚芯(壁厚200㎜であれば100㎜内側)を基準にして建屋投影面積を計算している。

外壁厚・柱スパン・防火壁厚のTera設定変更は面積計算に反映される。

第3項 床・梁と立面寸法

床・梁と立面寸法

1階床は高床式1000mmで階高は各階床上7000㎜。床厚+梁高は1000㎜として階高を算出している。

第4項 多階層と庇(ひさし)

庇(ひさし)は配送センター入出庫口に設けられた雨除け屋根のこと。3階以上の建物は庇が無く、建屋内にトラックが入る(Tera計算ではバース組込型と呼ぶ)形が多い。

庇は庇面積の50%が建屋投影面積に追加され、建蔽率=(建屋投影面積+庇面積*50%/)/敷地面積となる。

第5項 非常階段・エレベータ

非常階段・エレベータ

2階以上の建物は非常階段・エレベータの面積を追加される。Tera計算では、建屋全面積に対して1500m2ごとに防火壁を設置、1500m2ごとに1.5m幅の非常階段と(2.3m2*2.3m2の貨物エレベータの面積*1.5セット)を追加している。

第6項 母屋・別棟PL自動倉庫

母屋・別棟PL自動倉庫

通常、配送センターは複数の建屋ではなく1棟の建屋で完結されている。しかし、まれに自動倉庫をラックビル(棚部材に利用壁屋根を張付けた建屋柱が無い建物)にして別棟を建てる例がある。まれでは有るが敷地レイアウト(特に敷地通路幅)に影響を与えるのでTera計算2に組込むことにした。

自動倉庫は投資効果を高めるため段数を多くなる、段数が多くなると2階や3階が吹き抜け構造になる。建屋の床無し(吹き抜け)構造は構造的にもコスト的にも良いものではない。自動倉庫を導入する場合は自動倉庫を別当にするか、配送センター(母屋)に組込むかは検討に値する事項と考えている。

第7項 建屋タイプ40パターン計算

建屋タイプ40パターン計算

建屋タイプ40パターンは、別棟区分2(別棟A及び別棟Bは同じ面積)*階数5*庇有無2*バース面2=40 通りある。この40通りの面積と主要寸法を計算し一覧表(Excel出力可能)にしている。敷地面積画面はこの一覧表よりは建物情報を得ている。

第8項 建屋仕様と多階層センターの計算

建屋面積画面の階数・別棟有無などの設定を変更して建屋(母屋)の縦横寸法の表示変化を確認できるが、この表示は一時的な表示で敷地面積計算には反映されない。(建屋タイプ40パターン計算が敷地面積計算に使用される)。

第9項 母屋 平面寸法

建屋面積画面に建屋(母屋)の寸法を表示しているが縦寸法を変更して、横寸法を確認できるようにしているが、この表示は一時的な表示で敷地面積計算には反映されない。

第10項 母屋立面寸法

面積計算には使用しないが建屋のイメージを得るために高さ方向の寸法を表示している。

第11項 別棟PL自動倉庫 平面・立面寸法

別棟を採用した時のPL自動倉庫(ラックビル)の図と概略寸法を記載している。


第12節 敷地面積計算

資料は、物流センター設計の最終的な土地活用を決定する「敷地面積計算」のプロセスと、考慮すべき外部環境(動線や法的規制)を解説したものです。

建物の規模だけでなく、トラックの動きや安全な歩行者動線、さらには法令で定められた空地をどのように確保するかが焦点となります。主要なポイントを整理して解説します。

1. 敷地レイアウトとトラック導線の確保

建物を敷地に配置する際、最も重要なのは効率的かつ安全な車両の動きです。

2. 建ぺい率と容積率の計算

立地する「用途地域」によって法的規制値が異なります。Tera設定では一般的に建ぺい率60%・容積率200%を基準としています。

3. その他の敷地内必要スペース

建物と通路以外にも、以下のスペースを敷地内に確保する必要があります。

4. 建物構成による配置のバリエーション

敷地の形状や効率に応じて、以下の要素を組み合わせてシミュレーションを行います。

まとめ:配送センター規模計算の全体像

これまでのステップで、以下のデータがすべて出揃いました。

  1. 物量分析から導かれた「入荷・出荷・保管」の必要量。
  2. 作業・設備検討から算出された「各物流スペース」の面積。
  3. 建築仕様検討による「建物の形状(幅・奥行・高さ)」。
  4. 敷地検討による「土地の必要面積」。

これで、出荷データという「目に見えない数字」から、配送センターという「目に見える巨大な施設」の規模を論理的に導き出すプロセスが完了しました。

敷地レイアウト検討図

建物を敷地レイアウトに組込むとき、建蔽率・容積率と同時にトラックの導線を確保(トラック旋回通路)が需要。

入荷バースは大型トラックが多く、出荷バースは小型トラックであるがバース数が必要多い傾向にある。トラック通路(有効幅)=トラック旋回通路+1mは最低必要となる。

敷地はトラック導線の他に駐車場・駐輪場、トラックの待機スペース等、法的に指定された緑地がある。特にトラックとの干渉を避けた、安全な人の導線確保(大型センターでは延べ500人以上通行)が重要である。

第1項 建ペイ率・容積率

建ペイ率は用途地域(計画的市街地を形成するために、用途に応じて13地域に分けられたエリア区分)より変化する。建設ができない地域もあるので他著作物で確認いただきたい。

計算は建ペイ率=(建屋投影面積+庇面積*50%)/敷地面積、容積率=延べ床面積(仮想床加算)/敷地面積。 Tera設定では建ペイ率60%・容積率200%で計算している。

第2項 建屋階数
第3項 別当有り無し
第4項 バース庇(ひさし)・建屋組込み
第5項 バース1面・2面


第13節 Tera計算レイアウト例

この資料は、物流センター設計の集大成である「レイアウト例と運用イメージ」を視覚的に解説したものです。これまで算出してきた数値が、実際の建物内でどのように配置され、機能するかをまとめています。

主要なポイントを整理して解説します。

1. 運用フローと在庫管理の原則

効率的な運用のための基本的な考え方が示されています。

2. 空間配置の最適化(レイアウト図・3D)

算出された面積に基づき、垂直方向も含めた空間活用が提案されています。

3. 作成後の評価

レイアウト図や3Dイメージを作成した後は、最終的な評価ステップ(第5項)において、動線の重なりや作業効率、法的制約への適合性を再確認します。

まとめ:配送センター規模計算のゴール

本資料をもって、出荷データから物流センターの物理的な姿を導き出す全工程が完了しました。

  1. データ分析: 出荷実績から必要な在庫量と物量を特定。
  2. スペース計算: 入荷・出荷・保管・作業の各面積を算出。
  3. 建屋・敷地設計: 縦横比や階数、トラック導線を加味して外形を決定。
  4. レイアウト化: 設備を配置し、中二階活用などを含む最終的な図面・3Dを作成。

この設計案をベースに、実際の「マテハン機器の選定」「建築詳細設計」、あるいは「投資対効果の最終判断」へと進むことになります。

第1項 Tera計算数値

左記動画はTera計算2_配送センター規模計算の物流機器の面積をもとにレイアウトした3Dイメージ図である。

第2項 フロー図

フロー図

在庫はPL保管を原則とする、太守設備はPL自動倉庫・電動棚及びPL固定棚。PL積付は単載・混載有。

ケース出荷は在庫エリアから出庫して仕分けし発送先別に出荷エリアに搬送。

バラ出荷は出荷作業エリアでピッキング、在庫エリアから出荷作業エリアのフロー棚及び中量棚に補充。

検品レスの運用を想定、指定出荷先を抽出検品。

第3項 レイアウト図

レイアウト図

第4項 3Dイメージ

3Dイメージ

事務所は1階に一部、出来るだけ1階上層部(中二階)に設置。

事務所1階50㎡中二階150㎡

第5項 作成後の評価

作成後の評価